2025年8月中旬、夫とふたりでモンゴルへ行ってきました。
遊牧民のゲルで3泊、馬に乗って出かけて行った先の草原のテントで2泊、ウランバートルのゲストハウスで2泊の、7泊8日旅。
モンゴル🇲🇳へ行って来た
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) August 16, 2025
遊牧民のゲルに泊まった
みんなでお金を出し合って羊を丸ごと一頭買って捌いてもらって丸ごと一頭食べた
馬で移動して星空の下でキャンプした
トラックの荷台に乗って川を渡った
巨大チンギス・ハーン像を見た
ウランバートルを散策した
モンゴル、大変面白かった https://t.co/bAChU4ykma pic.twitter.com/Dky35KYg6u
今回の旅行、同じ日程で参加していたツアー同行者の方たち(総勢7名)(全員日本人)との行動が多く、写真等どこまで公開してOKかの見極めがむずかしかったのと、モンゴル旅行での最大の目的だった「乗馬」をしている間は安全上の理由でカメラを使用することができず、馬上からの視点がスマホ写真でしか残せていなかったのとで、全体的にどう記録しておくかを悩んでしまった。
…とうだうだしているうちに記憶が薄れていく一方なので、できる限りで残していきます。
きょうはモンゴル旅行1日目、ウランバートル空港から5時間ほどかけて遊牧民ゲルにたどり着くまでの記録。
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1日目:ウランバートル空港から草原の遊牧民ゲルへ
成田からウランバートルへ
2025年8月9日、成田空港からMIAT(Mongolian Airlines)504便に搭乗。
13:55、成田発。




18:30(現地時間)、ウランバートルのチンギス・ハーン国際空港着。
霧雨のような雨が降っていた。
ウランバートルまでのフライトってたったの5時間半だし、日本時間との時差もたったの1時間。
なんだか「外国へ来た!遠くへ来た!」感はうすい。あっさりしている。
入国審査でたずねられた入国目的には「遊牧民住居でのホームステイ」と返答、すんなり通過。
到着ロビーへのドアを出ると、参加者の名前を書いたパネルを掲げたツアーガイドらしき人たちがずらーーーーっと並んでこちらを見ていた。
へー、いろんなツアー催行会社があるんだなあ。
空港でトゥグルクへ両替
わたしたちは今回、モンゴル遊牧民男性と結婚した日本人女性 Sheilaさん が主催するツアーに参加することにしていたので、事前のやりとりで指定されていた待ち合わせ場所である到着ロビー内の花屋さんの前でお迎えを待つ。

…だれも来ないな…。
事前にSheilaさんにお願いしていたモンゴル国内のSIMカードも当然まだ手元にないので、メッセージのやりとりもできない。
焦りでじわりと汗がにじんでくる。
どうしようどうしようと思っている雰囲気を察してか、野良っぽいタクシー運転手がしつこく「Taxi?」と声を掛けてくる。
いや、要らんから。だいじょうぶだから。たぶん。
20分ぐらい経ったころ、空港内で飛んでいたフリーWifiをつかまえ、メッセージを送ることに成功。
すぐに返信があり、Sheilaさんのご主人がこちらへ向かっているところだけど、ちょっと遅れているので、先に空港内の両替所で両替をしたり、お酒やたべものなど必要なものがあれば同じフロアにあるカルフールで買い物して待っていて、とのこと。
あああああ、よかったー!!!ほっとしたー!!!
安心して、両替所へ向かう。
今回のモンゴル旅行、7泊8日のうち6日がツアー参加だし、7日目以降はウランバートル泊なのでクレジットカードが使えるし、8日目はもうほぼ帰国するだけという旅程なので、両替が必要なのはほぼツアー代金分の現金のみ。
- チンギス・ハーン国際空港でのピックアップ、遊牧民ゲルまでの移動(自家用車)費用
- 遊牧民ゲル3泊の宿泊、食事、乗馬体験等費用
- 馬旅キャンプ2泊の宿泊、食事等費用
- 遊牧民ゲル→ウランバートル宿泊地への移動(自家用車)費用
- ウランバートル宿泊地への移動(自家用車)途中、亀岩&チンギス・ハーン騎馬像へ立ち寄りオプション費用
- SIMカード購入費用
- 乗馬時の長靴レンタル費用
以上7点、2名分のツアー費用合計金額は、6,590,000トゥグルク。
ろ、ろっぴゃくごじゅうきゅうまん…。
桁が多すぎてビビるけど、2025年8月中旬時点での日本円換算は約28万円といったところ。
5泊6日のツアーで、2名分で、観光用のホテルではないリアルな遊牧民家庭のゲルに宿泊出来て、彼らと一緒に大草原での乗馬や馬旅でのキャンプまでできるとあれば、まあ妥当な金額かと。
空港両替所で日本円を渡し、手元に来たモンゴル紙幣はすべて20,000トゥグルク札。
300枚以上(!)になった分厚い札束を胸元のサコッシュに押し込み、上からパーカーのジップを上げる。
空港からゲルへ
再び花屋の前に戻り、声を掛けてくるタクシー運転手をあしらいながら待つこと10分ほどで、20代半ばに見える若い男性が声を掛けてきた。
お互い何を言っているかわからない状態にもどかしそうな彼が差しだしてきたスマホを耳に当てると、日本語が飛び込んでくる。
Sheilaさんだー!
この男性が、お迎えに来てくれたSheilaさんのご主人だそう!よかったー!
今回、ツアー参加(しかも日本語でのアテンド)ということですっかり弛緩しきっていて、あまり細かい旅程を知らないままでここまでのこのこやって来てしまったのだけど、この時の電話での会話によると、どうやらこの後われわれは、
- 空港から車で1時間ほど走ったナライハという街にあるご主人の実家へ行き、夕食をいただく
- ご主人の実家から車で1時間ほど走ったテレルジ溪谷にあるミニスーパーマーケット前へ行き、そこでトラックに乗り換える
- ミニスーパーマーケットからトラックで40分ほど走って、宿泊場所となる草原のゲルに到着
という動きになるらしい。
おおお…距離や時間の感覚が一気にモンゴルっぽくなってきたぞ。
わくわくする。
空港からゲルへ
空港からナライハへ
空港を出て、モンゴルの風にたなびく大きな大きな国旗を見ながら駐車場へ向かう。
ご主人が乗り込んだ車は、トヨタのプリウス。
…ていうか、駐車場で停まっているまわりの車もプリウスばっかりじゃん!!!
どーなってるの???
どうも、モンゴルでは日本の中古車が一般的で、体感では走っている車の8割が日本車、さらにそのうち7割がプリウスという感じ、とのこと。
トヨタ、スゴ。
車内でSIMカードを受け取ってアクティベートし、通信を確認。
息子と娘に写真を送り、無事到着の連絡をする。
窓の外には草原となだらかな丘が続き、車内にはHIPHOPがガンガン流れる。
モンゴル語の響きと、時折入ってくる倍音のハーモニーがカッコいい。



1時間ほどで、ナライハの街に到着。
時刻は20時ごろ。
走ってきた道から一本入ると、ガタガタぼこぼこの未舗装路になり、両側に簡素なレンガ塀やコンクリート塀が続く通りになった。
塀の中に、ゲルが建っている。
ここがご主人の実家らしい。
おおお、こんな街のなかでもゲル生活が営まれているんだね…!
中へ入ると、わたしより少し年配らしき女性、若い女性、10歳ぐらいの女の子、5歳ぐらいの男の子、1歳ぐらいの女の子に迎えられた。
入り口はいってすぐ脇の床に小型のIHを置き、年配女性が何か食事を作っている。
奥には大きなテレビ、ゲルの壁に沿ってぐるりとベッドや棚、冷蔵庫が並ぶ。
現代の、モンゴルのゲルの中って、こうなってるんだ。
テレビの前にしつらえられた長椅子に座るよう促され、長椅子の前のテーブルに食事が並び始めた。
親指大のころころした揚げパン、ニンジンと羊肉の入った焼きそばのような麺料理、塩とミルクで淹れたお茶「スーテーチャイ」。
へー、これがモンゴルのごく一般的な家庭料理なんだろうな。
羊肉なのでちょっとクセはあるけど、シンプルでおいしい。
奥のテレビ画面では、大阪のまちの映像がずーっと流れていた。

(揚げパンを食べながら、「大阪だ!」と指さしている夫)
言葉は全くわからないけれど、動きや話し方から想像するに、年配の女性はご主人のお母さん、若い女性はご主人のお姉さん、10歳ちゃん・5歳くん・1歳ちゃんの3人はお姉さんの子どもたちなんだろうなという感じ。
お母さんが食事の配膳、お姉さんがご主人と一緒に荷物の積み下ろし、5歳くんはそのまわりをちょろちょろ走り回って手伝ってる(邪魔してる?)、10歳ちゃんは1歳ちゃんを抱いてあやしている。
大人子供にかかわらず、それぞれが自然と役割を担うことでまわっている雰囲気がとてもよくて、日本ではあまりみかけなくなった家庭のかたちが思い出されてちょっとほっこりする。
食事を摂ってお茶をいただいたらトイレに行きたくなってしまい、忙しく動き回っているご主人に声を掛けると、ゲルを出て10mほど先の敷地の角を指さされた。
時刻は21時ごろになって、もう外も暗くなっている。
その暗闇を透かして、トタンで囲われた小さな小屋が見えた。
おお、あれがトイレか…!
リュックからトイレットペーパーを出し、ヘッドライトを点けて小屋へ向かってみると、トタンの壁の中で地面に1.0m×1.5m、深さ1.5mほどかな?の四角い穴が掘られ、その上に木の板が2本渡してあるのが目に入ってきた。
おお、これがトイレか…!
2本の板に乗って穴の上に立ち、用を足す。
おお、これが排泄だ…!
あまりにプリミティブな体験で、妙な解放感と感慨がある。
案外、というか、全然平気。抵抗感ない。
やっていける気がする。
ナライハからテレルジ溪谷へ
気がつけば、プリウスの屋根の上にまで荷物がいろいろ積まれ、出発の準備が出来ていた。
ご主人が運転席に、お姉さんが1歳ちゃんを抱っこして助手席に、5歳くんがリアシートでわたしたち夫婦の間に座る。
このメンバーで出発らしい。
お母さん、ごちそうさまでした、ありがとうございました。
ナライハの家を出てしばらく走る。
反対車線は帰宅ラッシュなのか、ずらーっと車のヘッドライトが連なってキラキラ光る道が出来ている。
暗い中を爆走するプリウス。
車内に流れる爆音のモンゴルHIPHOPの合間に、とつぜん『オカネ、カセグ、ワタシハスター』が流れて来たり。
いきものがかりの『ブルーバード』に、あ、なつかしい…NARUTO…、と思わずつぶやくと、ご主人がニッと笑って「アー、ナルトー」と返してくれたり。
中古プリウス、やりおる。
5歳くんが夫にもたれてスヤスヤ眠り始めて30分ほどで、明かりが点いて人の出入りが見える小さなお店の前に着いた。
ここが、草原のゲルまでのトラックに乗り換える、ミニスーパーマーケットらしい。
プリウスの外に出ると、あまりの空気の冷たさに縮み上がる。
いやー、こんなに寒いの!?
あわててリュックからライトダウンジャケットとレインウェアを出して羽織っていると、ご主人からSheilaさんと通話中のスマホを渡される。
「このさき川を渡ったりするので、トラックに乗り換えてもらいます。40分ぐらいでゲルに着きます。日本ではなかなかできない経験なので、よろしかったらトラックの荷台に乗ってもらっても大丈夫ですよー!」
たしかになかなかできない経験!たのしそう!荷台で行こうかなー、とハイになるわたしの手綱を、夫がマジなトーンでひきしめた。
寒すぎるし、暗い中どんな道かわからない、クッションもない荷台でゴロンゴロン転がってけがをするかもしれない、やめといたほうがいいよ。
…はーい…。
ここで30代とおぼしき男性がひとり加わり、ご主人がトラックの運転席、その横にわたしと夫が乗り、ご主人のお姉さん、5歳くんと1歳ちゃんと30代男性が荷台に乗った。
出発!
テレルジ溪谷ミニスーパーマーケット前からゲルへ
ミニスーパーマーケット前を出てちょっと走ったと思いきや、すぐに停車。
ご主人が小さなお店の中に入り、紙袋を持って出てきて、それを荷台の5歳児くんに手渡す。
暗闇の中をふたたび走り出したトラック。
しばらくすると、荷台の方からパン!パン!と火薬のはじけるような音がする。
座席後ろの窓から荷台をのぞくと、5歳くんがきゃあきゃあ笑いながらおもちゃのピストルをトラックの外に向かって打ち鳴らしていた。
さっきのお店で、ピストル用の火薬の弾を買ってもらったんだな。
夜遅い時間まで起きていて、トラックの荷台に乗って真っ暗な中を走りながら、おもちゃのピストルを撃ちまくる。
最高の夏休みだ。
そうこうしているうちに周りが林になり、トラックがときおり傾くぐらいの凸凹道になり、すぐ目の前に川の流れが現れてきた。
え、これ…ここに突っ込むの???
モンゴルにて
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) October 6, 2025
テレルジ渓谷内の真っ暗な凸凹道を疾駆しつつ、目の前に現れる川を次々と突っ切っていくKIAのトラック
アトラクション顔負けのスリル、最高だった pic.twitter.com/h3tf6z4wnE
いやこれもうホントにすごかった。
道はぐねっぐねで半分けもの道みたいな感じだし、凹凸半端ないし、当然街灯の明かりなんて無いし、川は次から次へと現れてくるし、しかも結構な深さの場所もあったし、それなのに、トラックはスピードをゆるめることなくかなりのスピードで走り抜けていく。
ご主人、このぐねぐねの道をぜんぶ記憶していて、この暗闇の中で道路状況を見極めて、進路を選択して、川の水深を見切って、クラッチさばきひとつで乗り切ってるってコト…???
これは「荷台に乗って~」なんて、欲をかかなくてよかったわ。
このまっくらな中、トラックが傾くような道の凸凹と川への突撃で、上下前後左右にからだを揺すられもみくちゃになりながら耐え抜けたとは思えない…。
車内のシートに座っている限りでは、アトラクションみたいでめちゃくちゃ楽しかったけどね!
ゲルに到着!
23時すぎ、今回の旅の舞台となる草原のゲルに到着。
ここでようやくSheilaさんとはじめましてのご挨拶。
お若くはつらつとされた印象に、一気に安心感がこみあげてくる。
一週間、お世話になります。
5歳くんがゲルに着くと、モフモフの黒い犬がぺたんと床につっぷし、撫でてもらいにきた。

なかよしなのかな、かわいい。
ひと息ついてから、これから3日間宿泊するゲルへ案内される。
Sheilaさんご夫婦が暮らしているゲルのとなりに、ナライハのゲルよりもひとまわり大きく感じるゲルが建っている。
ドアを入って奥とその左右に一台ずつ、合計3台のベッドがしつらえられ、中央には薪ストーブ。

ゲルの屋根を支える骨組みに引っ掛けられたLEDライトの明かりの下でかんたんに荷物を解き、歯を磨き、ゲルの外でペットボトルのお水で口をすすいで草の上にペッと出す。
これから一週間は、「蛇口をひねればジャーっと流れ出てくる水道水」もない生活だよ。
どんなくらしになるか、たのしみだね。

ベッドの上に広げられた寝袋に、さらにもう一枚、持参した薄いダウンシュラフを重ね、潜り込む。
うう…さむい…。
そうはいってもまだ8月なわけだし、屋根と壁だってあるし、ベッドもあるし、寝袋も二枚重ねだしダウンジャケットも着たままだし薪ストーブも焚いてくれたから、まあ大丈夫でしょう。
おやすみなさい。